被曝リスクは安心レベル!原発御用による福島原発の炉心調査方法を大胆提案


第2章 「隠す技術」 原発・被曝に関するリスクを隠して安心

ヨウ素131以外の核種を隠して安心

福島第1原発事故後の「隠す技術」のうち、ここまで述べてきた「確率的影響隠し」、「内部被曝隠し」の次に起こった事象は、「ヨウ素以外の核種隠し」であった。「あわよくば、何も言わずに・・・」という気持ちが見え隠れしていたと推察される。

放出されたと推測される放射性物質の全体像を示すことなく、ヨウ素→セシウム→セシウム+その他の核種の順に紹介および注目度が変更されていったと記憶している。

たしかに、事故対応初期には放射性ヨウ素による被曝からの防護が重要であったのは言うまでもない。チェルノブイリ原発事故で子どもの甲状腺癌が増加したからだ。

しかし、様々な放射性核種が飛散したことを説明する必要があった(全体像の説明)。その上で、ヨウ素131に着目した理由とその防護を説明する必要があったのではないだろうか。その時点で正確な核種数とその名前が分からなかったとしても、予防的措置として説明すべきであっただろう。

なお、一部の専門家の間では、小児甲状腺がん恐れるに足らず(手術後のお医者さん通い等を考慮しないで、死ななきゃOK)といった楽観論があったことも強調しておきたい。

セシウム137の登場と新たなマジックワード

その後、半減期が短いヨウ素131が減少してきたところで、セシウム137を強調するようになった。

原発御用は、セシウムの取り扱いに困ったと考えられる。半減期の説明をしなければいけなかったからである。半減期が短いヨウ素の時は「8日ごとに半分ずつ減っていきます」と言えたものの、半減期30年となると大問題である。

しかし、ここでも原発御用のマジックワードが炸裂した。
いわゆる「セシウム安心キャンペーン」の登場である。

セシウム安心キャンペーンの内容と新説登場

大々的に展開された主なセシウム安心キャンペーンの内容は、生物学的半減期と健康被害の未確認である。

前者では、「ヨウ素と異なり筋肉などに貯まるが、尿で排出され半減期は100日である(から安心)」が有名であろう。継続的に摂取される恐れは華麗にスルーであった。

後者では、世界的権威である某名誉教授の「セシウムによる健康被害は確認されていない」が名言の1つである(科学的知見であったとしても)。また、半減期2年のセシウム134を途中から登場させるなど新たな手法を試みていた。

さらに、時期を失念したが、「セシウムの半減期は18年(正確な期間を忘れた)である」という公式発表まで行われた。世界に先駆けて解明した新説である。

もちろん、「雨や風により除染されるため」と訂正が入ったのは言うまでもない。原発御用の多くが「半減期ではなく、単なる放射性物質の移動では?」と苦言を呈することはなかったことも強調しておきたい。

ベンチ要員の他の核種たちと炉心探しに及ぼす影響のまとめ

セシウム安心キャンペーン一方、日の当たらない多数の核種が存在した。

キャンペーン前後、半減期2.4万年で「遠くまで飛ばない」プルトニウム239、ストロンチウム89・90、ウランなどの核種は少し調べられたとはいえ、キセノン、テルル、ネプツニウム239、トリチウムなどの核種の出番は恐らく今後もないだろう。したがって、放出されたと考えられる約40種類以上(一説には百種以上)の放射性核種の多くが、今後もスーパーサブとしてベンチを暖め続けることになる。

以上、炉心探し調査へ及ぼす影響は以下の通りとなる。
ヨウ素はすでにほぼ消失したこと、セシウムによる健康被害は認められないこと、ベンチ要員を無視できること、内部被曝より外部被曝(安心を確認済)が重要であることから、格納容器内での炉心探し作業に及ぼす影響はほとんどないと考えられる。

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