被曝リスクは安心レベル!原発御用による福島原発の炉心調査方法を大胆提案


第2章 「隠す技術」 原発・被曝に関するリスクを隠して安心

不都合な情報隠しA不適切な解説
日本の権威による「ありがたい」発言で安心

震災後のメディアや講演での様々な専門家による「不適切な解説」も「不都合な情報隠し」に該当するだろう。「間違ったことは言っていない」、「科学的な事実を述べただけ」と擁護する人々も多くみられたが、彼らは「不誠実な情報公開」には着目せず、ある一部分の正確性だけに着目して、擁護していた。

有名な発言を追っていこう。なお、以下の発言に対して、揚げ足取り、細かいなどの批判が出てくるかもしれないが、科学に関する発言は、その正確性やデータから言えることの限界などが存在する。100mSvばかりが取り上げられてきたが、他に注目すべき部分が随所にみられる。

放射線量を間違えても後でコッソリ訂正しておけば「安心」

100マイクロシーベルト/時(876mSv/年)を超えなければ、まったく問題ありません。

→根拠が不明だが、その後訂正されたので問題ないだろう。仮に事実と異なる発言をした場合でも、ウェブサイト上でコッソリと修正すれば、インターネットをしない人でも確認できるようなので、大きな問題とはならないだろう。

訂正:質疑応答の「100マイクロシーベルト/hを超さなければ健康に影響を及ぼさない」旨の発言は、「10マイクロシーベルト/hを超さなければ」の誤りであり、訂正し、お詫びを申し上げます。ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ありません。(福島県の公式ホームページより)

外部被曝は全くないから「安心」。ちゃんと調べてないけど「安心」

今の飯舘村の放射線量(Sv/h=シーベルト/時間)では、外部被ばくは全くありません。問題は、内部被ばくです。

→この発言には2つの不誠実があるだろう。1つは、内部被曝はするのに外部被曝を皆無にできる(権威の発言なので、我が国の最先端の研究では可能なのかもしれない)。

もう1つは、前半部分。放射性物質による汚染は、数十cm離れるだけで線量が大きく変化する可能性が高いにもかかわらず、この発言は1ヵ所程度の線量だけで全体を説明している。飯舘村役場にクマが生息していないから、飯舘村にはクマが生息していない、と言っているようなものである。たしかに、ニコニコして過ごせそうである。

曖昧表現と遊牧民と考えてしまえば「安心」

今の濃度であれば、放射能に汚染された水や食べものを1か月くらい食べたり、飲んだりしても健康には全く影響はありません。

→「今の濃度」が全体を説明できるのか、「〜くらい」の曖昧表現、「全く影響はありません」の3点が問題であるが、福島県民を「1ヶ月くらい」しか滞在しない遊牧民とでも考えての発言なので大きな問題ではないだろう。

完全に解明してないけど「安心」裁判も見すえて「安心」

現在、20歳以上の人のガンのリスクはゼロです。ですからこの会場にいる人達が将来ガンになった場合は、今回の原発事故に原因があるのではなく、日頃の不摂生だと思ってください。

→放射線被爆による人体への影響は、完全に解明されたわけではない。本来、もっとも分かりやすかったチェルノブイリ事故後の小児甲状腺がんが、正式に認められるまでに20年間を要したことから、今後出るかもしれないという予防原則が重要であろう。

しかし、現在の知見が全てであるので断定できており、特に問題はない。しかも、今後起こる恐れのある裁判に備える先見の明は称賛されるべきであろう。

研究の限界があるけど「安心」

長崎と広島の被ばく者、チェルノブイリの被爆者の経験を基にお話をさせてもらっている。

→質疑応答で出てきた発言である。この発言は、話している内容が限られた知見に基づいて説明していることを示唆している。核実験による被爆者や原子力発電所作業員を対象とした知見は、含まれていないらしい。

自分の研究だけではなく、「総説」的な説明が求められるのだが、それが欠如している。しかし、長崎・広島とチェルノブイリだけの知見で全て説明できると考えているようなので、きわめて効率的な説明手法として注目されるべきものである。

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