水道水データの不自然な消失まとめ:福島原発炉心調査方法の提案


 

【コラム】福島県の環境放射能水道水データの不自然な消失まとめ

概要

「原発事故直後のSPEEDI(放射線予測)メールを福島県が消していました」問題に関連して、 福島県の環境放射能(水道水)データの消失(未記載)についてまとめてみた。

【まとめ】
1.3月17日以前の水道水中の放射性物質のデータが「なかった」ことになっている。
2.サイト上の該当箇所に未記載(第28報以降を公開。サーバーには第10報以降が残存)。
3.第14報までは16日分データは記載。第15報以降「3月16日のデータ」が未記載。
4.3月16日の水道水には、セシウムが検出されていた。
5.福島県のアドバイザー(山下・高村両先生)監修のQ&Aでは、水道水にセシウムは出ないと断言(苦笑)。
6.実際は検出されている。厚労省HPにも記載されている。
7.真相はどうなの?誤検出だったの?関東でも出たのに?
8.関連記事と引用文献は最下段。

まとめ画像で振り返ってみる

福島県のサーバーに残っている最初のファイルは、第10報。
セシウムが検出されていることが分かる。

図1 飲用水(水道水)中の環境放射能測定結果(暫定値)第10報(3月18日20時)


第14報のキャプチャ画像。セシウムは健在だ。

図2 飲用水(水道水)中の環境放射能測定結果(暫定値)第14報(3月19日23時)


第15報のキャプチャ画像。セシウムは健在・・・アレ?見事に消えている。
第15報以降、3月16日のセシウム検出データは日の目をみない状況が続いている。

図3 飲用水(水道水)中の環境放射能測定結果(暫定値)第15報(3月20日13時)


19日23時〜20日13時に何があったのかを知りたいですねぇ。
「記載ミスしたので修正しました」(例の100マイクロじゃなく10マイクロの件と同様)になるかもしれないので、 「しっかりと監視していく」(例の会見用語)ことが重要ですね。

ちなみに、現在(というか、ずっと)の福島県(公式サイト)の該当ページは下のようになっています。

図4 飲料水測定結果・検査結果関連情報

水道水からセシウムは出なかった福島県?と専門家監修の胡散臭さ

福島県公式サイトによれば、福島市ではセシウムは出なかったらしい(ということにした)。
これだけでもアレだが、さらに問題がある。
わが国が誇る被曝医療の権威が監修したQ&Aが「事実」と異なる点。画像で説明する。

図5 放射線と健康に関するQ&A(23.7.1更新)


セシウムが出ているのに、なんでこんなウソつくん?(笑)。
福島県のデータ(第14報)にも、厚生労働省のウェブサイトでもデータが公表されているのに・・・。 ヨウ素は出ますと書いている(事故直後も想定)ので、「7月1日更新で、7月の時点ではそうなる」という言い訳は通じないでしょう。

推測になりますが、被曝医療の世界的権威は、福島「市」のデータを見て、セシウムが出てなかった(17日以降)ので、出ないと断言した可能性が高いですね。

これには2つの驚きがあったりします。1つは、水道という被曝医療とは無関係、つまり専門以外の分野について、「断言できる」「Q&Aを了承した(共著者的扱いなら責任発生します)」コト。もう1つは、データを網羅して把握したわけではない(と推察)のに、「出ないっす」と断言しているコト。 さすが、日本が世界に誇る専門家といえそうです。

なんで、こうなった?

7つの可能性
1.単なるミス(→放置しすぎです。「当時は混乱していて〜」言い訳はなしで)
2.誤検出(→訂正してその旨記載して。ちゃんと載せてる厚生労働省に訂正してお詫び申し上げて)
3.風評被害のため隠したかった(話が別)
4.隠せるものだと思った(ありそうで怖い)
5.セシウム検出が3月16日だけなので、なかったことにしたかった(ありそうで怖い)
6.Q&Aと整合性を取るため、見せない方向になった(ありそうで怖い)
7.A4用紙1枚に収まりそうもなかったため。(某会社ならありえるが)

「うまいな」と感じることは、サーバーには残している点。削除せず(完全に隠さず)、見せない(かなり見つけにくい)だけなので、何とでも言い訳ができそう。

関連記事

このコラムと関連する記事:隠す技術:水道水データ消失を取り上げて批判(下のほうに書いてる)。を書いてますので、興味ある方はどうぞ。

ちなみに、こんなにツッコミを入れる理由は、90年代半ばに読んだ、「チェルノブイリ報告」(広河氏)の影響が強いのです(震災当日夜には読み返したほど)。実際、行政・政府対応は、チェルノと同じようになって衝撃を受けたため、震災1年を前に皮肉を交えながら記録を残そうと考えました。このコラムもその一環です。ずっと気になってたことも理由の1つです。

引用・参考文献

2011年3月のデータなので、「現在も水道水にセシウムが出ている」と誤解しないようお願いします(自分は調べてないので何ともいえません)。
1.第10報:福島県水道中環境放射能データ(PDF)
2.第14報:福島県水道中環境放射能データ(PDF)
3.第15報:福島県水道中環境放射能データ(PDF)
4.放射線と健康に関するQ&A(23.7.1更新)
5.飲料水測定結果・検査結果関連情報
福島県【公式】のトップページからアクセス可能
6.水道水中の放射性物質の検出について(第20報)3/31
(別添1−2)に、3月16日のデータが記載されている。
7.福島県内水道水中の放射性物質(PDF)
適当に見つけた厚労省のデータ。福島県内でセシウムの検出が散見される。

【最終更新日】2012年3月22日

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