福島第1原発での爆発的事象の前後から、あからさまに強調されたことの1つは、内部被曝隠しであった。
しかも、原発でのモニタリング数値の上昇に伴い、比較対象項目は頻繁に変更された。比較するための尺度や基準の変更は、状況を分かりにくくすることに成功するとともに、国民の放射能へのストレス軽減に絶大な威力を発揮したことであろう。
第2章 「隠す技術」 原発・被曝に関するリスクを隠して安心
内部被曝隠し 福島第1原発での爆発的事象の前後から、あからさまに強調されたことの1つは、内部被曝隠しであった。
しかも、原発でのモニタリング数値の上昇に伴い、比較対象項目は頻繁に変更された。比較するための尺度や基準の変更は、状況を分かりにくくすることに成功するとともに、国民の放射能へのストレス軽減に絶大な威力を発揮したことであろう。 内部被曝隠しの具体例〜不自然な比較をして安心〜 内部被曝隠しの主な具体例を以下に示す。レントゲン、年平均値、世界各地の放射線量の高い場所との比較など、比較する「尺度」を不明にすることがポイントである。
レントゲン○回分/東京・ニューヨーク間の飛行機移動○回分 レントゲン○○回分 世界の年平均の被曝量(2.4mSv) CT検査(6.9mSv)○回分 世界各地の「比較的高い」放射線量の場所(5.5mSv〜28.1mSvなど)との比較 このあたりから苦しくなってきたのか、100mSv以下なら、200mSv以下なら、敷地外なら安心と変更されていった記憶がある。最終的には、「確率の問題だろう」に落ち着いてきたと推察される。 なお、我が国の実績に基づけば、放射能濃度の結果や粉塵等による吸入リスク等をできるだけ無視しておくことが肝要であろう。もちろん、食物などの放射性物質の調査も「ザル検査」であることが望まれるのは言うまでもない。 内部被曝隠しのポイントをおさえて、炉心作業は安心! これらの表現の最大の問題は、呼吸や食物摂取による内部被曝には言及せずに外部被曝しか着目していなかったことである。
しかし、別の視点から考えると、これらの説明は、日本が世界に誇る被曝医療や「安全神話」の原子力専門家が「間違える」、「思いが至らない」はずがないので、「外部被曝」は「内部被曝」より重要であることを示唆している。 つまり、外部被曝の心配さえすれば、今回の炉心捜索作業も「安心」である。 次ページ:ヨウ素131以外の核種隠し〜第2章「隠す技術」 |